KATSUYA SUSUKI GALLERYでは7月24日(土)から8月22日(日) 8月29日(日)まで(会期延長致します)、若林菜穂と福濱美志保による二人展「Kinder Wonder Gardenを開催いたします。
開催概要
若林菜穂&福濱美志保 Kinder Wonder Garden
会期:2021年7月24日(土)〜8月22日(日) 8月29日(日)(※会期延長)
営業日:水曜日〜日曜日 定休日:月曜日・火曜日
営業時間:11:00〜19:00
会場:KATSUYA SUSUKI GALLERY
〒152-0022 東京都目黒区柿の木坂1−32−17
TEL:03-5726-9985 FAX:03-5726-9986
交通アクセス:東急東横線「都立大学駅」より徒歩5分
「おむすびころりん」と『不思議の国のアリス / Alice’s Adventures in Wonderland』(L・キャロル / 1865年)には、現世から異界への跳躍に伴い、登場人物やその周辺環境のスケールが変化する、という共通の要素がある。このような現象あるいはギミックに関しては、古今東西の多くの物語はもちろん、他分野の芸術表現においても様々な類型を見出すことができる。 ———という話が、今回の2人展の方向性についてのミーティングを若林菜穂・福濱美志保の両名とともに行う中で挙がりました。「スケールの変化」という命題は特に福濱作品において顕著なものです。制作の最初の段階で、白布や建築模型用のイスを用いて手の平サイズのミニチュアを組み、写真に収める。それを静謐な物質性を伴った油彩の筆触でキャンバスに描き起こし、絵の中にしか存在し得ない風景を立ち上げていく。…という工程が現在の彼女の基本的な制作スタイルであり、そこではミニチュアとキャンバスの間に生まれるスケールの差が、絵画固有の世界を切り開くために大きな役割を果たしているからです。
一方の若林作品においてもスケールの変化という要素を見出すことは出来ますが、それ以上に、さまざまな物体が元々在った場所から切り離され、別のエリアと結合される、という「空間の変位」が目に留まることが多いかもしれません。自らの感情や精神と呼応するモチーフたちを日頃から写真に撮り溜め、コラージュ的作業を経て組み合わせていくことによって、若林の画題の多くは生成されています。この過程においては、まずモチーフとの邂逅が作家の内面に突発的な反応を生み、作家は複数のそれらを融合させ絵画へと昇華させていく、という、モチーフと作家の間を往還する相互作用が独自の絵画空間への重要な道筋となっています。
2人の制作プロセスの表面をなぞると、上記のような共通点あるいは相違点を見出すことができます。前者を端的にまとめるならば、私たちが日常的に目にしているフォルムを用いることで鑑賞者にどこか既視感を与えつつも、それらが存在していた元来の座標を一部操作することによって、“絵画” としか謂いようのない視覚を生み出すことを目指している、という点に1つのフォーカスを充てることはできるでしょう。
このような作品の在り方は、いわゆる具象絵画というオーソドックスなカテゴリーに属するものとして捉えることもできるかもしれません。しかし写真やデジタルコラージュといった手法をペダンティックな気配を全く感じさせずに飄々と用いながら、自らの求める風景や質感を確かな個人的実感とともに淡々と油彩化していくピュアネスの中に、彼女たちの鮮やかな現代性 / 同時代性を見出すことができます。本展のタイトルは、ミーティングの中で挙がったいくつかのキーワードを組み合わせた造語です。“wonder”は冒頭に例示した『不思議の国のアリス』にも由来しています。きらめく2人のワンダーな庭にようこそ。
[Text:田中耕太郎 / インディペンデント・キュレーター]
福濱美志保 Mishiho FUKUHAMA
1992 香川生まれ、東京育ち
2017 武蔵野美術大学 造形学部油絵学科 卒業
主な展覧会
2021 個展「Whistling on the Iceberg」 / cafe*lamp
2018 「木曽ペインティングス vol.2」 / 木曽路美術館
2018 個展「瞬きのすき間」 / cafe*lamp
2017 「エクササイズ&Grandscape 石原康佑・福濱美志保」
/ LOKO GALLERY
2017 「武蔵野美術大学卒業・修了制作展」
2015 個展「in between」 / 武蔵野美術大学
2013 個展「nijntje」 / cafe*lamp
主な受賞歴
2021 FACE2021 入選
2020 第5回星乃珈琲店絵画コンテスト 優秀賞
2019 三菱商事アート・ゲート・プログラム
第43回チャリティー・オークション 入選
2017 武蔵野美術大学卒業制作展 研究室賞
若林菜穂 Naho WAKABAYASHI
1991 東京都生まれ
2017 武蔵野美術大学 造形学部油絵学科 卒業
主な個展
2021 「MAGIC FLIGHT」/ 数寄和
2020 「wink」/ 四谷未確認スタジオ
2018 「行く先々」 / 数寄和
「うつせる窓」 / 小杉画廊
主なグループ展
2020 「心覚えをたどる」 / hatoba cafe/gallery
「第三十三回ホルベインスカラシップ成果展」/ 佐藤美術館
2018 「清須市第9回はるひ絵画トリエンナーレ」
「木曽ペインティングスvol.2」 / 木曽路美術館
「Slide,Flip, and Turn -7人のアーティストブック展-」/ 武蔵野美術大学美術館図書館
2017 「武蔵野美術大学卒業・修了制作展」
「五美術大学連合卒業制作展」 / 国立新美術館
「アタミアートウィーク」 / 青い屋根の平屋
「木曽ペインティングスvol.1」 / 本陣
主な受賞歴
2019 第三十三回ホルベインスカラシップ 奨学生認定
2018 清須市第9回はるひ絵画トリエンナーレ 入選
2017 武蔵野美術大学卒業制作展 研究室賞
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