KATSUYA SUSUKI GALLERYでは6月19日(土)から7月18日(日)まで、大城夏紀による個展「鳥が鳴いて私は涙する」を開催いたします。
早稲田大学第二文学部卒業後、阿佐ヶ谷美術専門学校を経て2012年東京造形大学大学院造形研究科美術研究領域修了という異色の経歴をもつ大城は、日々の生活の中に潜むルールや制度、構造を抽出し、そこに言葉や色彩を纏わせる事で、対象の持つ本来の意味から距離感やギャップを生み出し、物事の構造や本質を再定義する制作活動で、これまで庭園や駅、工業製品などをモチーフとした作品を発表してきました。
また、2018年11-12月 シェル美術賞第1回レジデンス支援プログラムによるパリ(Cite international des arts)での滞在制作をきっかけに、近年では自作の模様を取り入れた絵画を空間的に展開する試みを行っています。
この度、大城にとって3年ぶりとなる個展「鳥が鳴いて私は涙する」では、万葉集を編纂したと伝えられている大伴家持の和歌をモチーフに、和歌を通して大伴家持の見た風景や言葉を通して見えてくる視点を再構築し、万葉の時代から1200年という長い月日を積み重ねてきた現在の視点との繋がりを模索します。
また併せて、現代の詩人・哲学者の下西風澄氏の詩をモチーフにした小作品も展示されます。
この機会に是非ご高覧下さい。
展覧会概要
展覧会名:大城夏紀「鳥が鳴いて私は涙する」
会期:2021年6月19日(土)〜7月18日(日)
営業日:水曜日〜日曜日 定休日:月曜日・火曜日
営業時間:11:00〜19:00
会場:KATSUYA SUSUKI GALLERY
〒152-0022 東京都目黒区柿の木坂1−32−17
TEL:03-5726-9985 FAX:03-5726-9986
交通アクセス:東急東横線「都立大学駅」より徒歩5分
(詩・文 提供:下西風澄 『GATEWAY201601』(YYY PRESS)より抜粋)
アーティスト・ステートメント
大学院生の頃、学内の展覧会で大きなミズキの樹の絵を見た。
白いもやもやとした柔らかな印象の絵で、絵を描いた女性から、ミズキはハナミズキとは全く違う姿で、覆いかぶさるように白い花が咲く、その存在感に心を動かされた話を聞き、以来ミズキの花を見る度にその人の絵と言葉を思い出す。
絵を見たこと、エピソードを聞いた時から、5月頃に咲くミズキの花が特別なものになった。これを「ミズキの花」という私にとっての風景の発見だとすると、私が見ることのできる風景は、これまで見たり聞いたりしたものによって知らずにフレーミングされているのかもしれない。
万葉集を編纂した大伴家持は、5年間の越中(富山)赴任を終え、750年頃に奈良の都へ戻ってくる。今回展示するメインの作品は、この2年後に詠まれた、家持の絶唱とされる「春愁3首」をモチーフにしている。本人が実際に見た風景か、造られた風景かは分からないけれども、春愁という感性は、どうやら漢詩に詳しかったお父さんの影響を受け、中国詩学における文学観がその根底にあるという。
1つの和歌の中には、別の和歌や漢詩がその視点とともに内包されつつ、少しずつ変化する。
富山の立山連峰や日本海を見た後に、奈良に戻った大伴家持の目には、どのような風景が見えていたのだろう。そして、家持が詠んだ「春の美しい景色を見て、感じるかなしさ」とは、どんなものだったのだろう。
大陸由来の文学、そして家持やその後に続く、様々な言葉の積み重ねから私は現在の風景を見ている。そう想像すると、1200年前と現在がつながるようで、風景の可能性にときめきを感じずにはいられない。
大城夏紀 Natsuki Oshiro
1985年目黒区生まれ、横浜市在住。川崎市のアトリエにて制作。早稲田大学第二文学部卒業、阿佐ヶ谷美術専門学校を経て、2012年東京造形大学大学院造形研究科美術研究領域修了。
個展
2018年「Rhapsody in French garden」オープンスタジオ、Cite international des arts・パリ
2018年「山と荒磯 dal segno」ART TRACE Gallery・東京
2017年「ossis」CLOUDS ART+COFFEE・東京
2016年「pianissimo」ART TRACE Gallery・東京
2011年「風景の発見」CS ギャラリー 東京造形大学・東京
近年のグループ展
2021年
「紙の上の思考Ⅶ -words Thoughts through Drawing」Gallery惺SATORU
2020年
アートハウスおやべ開館5周年展
「あゆのかぜいたしくあゆはしる-見えないものに触れる時」アートハウスおやべ・富山県
「二つの自然」ポート アート&デザイン津山、NishiIma25・岡山県(岡山県アーティスト滞在・交流事業)
2019年
「シェル美術賞2019 レジデンス支援プログラム2018 レジデント展示」国立新美術館・東京
「Pick Up」REIJINSHA GALLERY・東京
「雲のような線 Line, such as a cloud」SAKuRA gallery・東京
「Retro Machinism」TO OV cafe/gallery・札幌、Newld・東京
「3331ART FAIR 2018」アーツ千代田3331・東京
「ASYAAF 2017」韓国・ソウルDDP
「OPEN TIME」ART TRACE Gallery・東京
「阿佐ヶ谷アートストリート2017」杉並区役所・東京
「ホルベイン・スカラシップ選抜展VOL.3」REIJINSHA GALLERY・東京
「札幌アートフェア2016」札幌クロスホテル・北海道(Art Labo北舟) 他、グループ展多数。
受賞・入選
シェル美術賞 第1回レジデンス支援プログラム(パリ, Cite international des arts)
シェル美術賞2017入選、ワンダーシード 2015入選
第26回三菱アートゲート・プログラム入選
阿佐ヶ谷美術専門学校「同窓会賞」受賞
第26回 ホルベイン・スカラシップ奨学生
【新型コロナウィルス感染予防ご協力のお願い】
・発熱や咳、だるさなどの症状があるお客様は、御来廊をご遠慮いただきますようお願い申し上げます。
・マスクの着用と、入口で手指のアルコール消毒をしていただきますようお願い申し上げます。
・ギャラリー内が混雑した際には、入場を制限させていただく場合がございますので、その際はご協力の程、よろしくお願い申し上げます。
・新型コロナウィルスの感染拡大の状況によって、営業時間の変更及び会期の変更の可能性がございます。最新情報などはホームページ及び各種SNSにて告知させていただきますので、よろしくお願い申し上げます。