《Something in the Wind》2023 / oil on canvas / 22.7 × 22.7 cm
この度KATSUYA SUSUKI GALLERYでは2023年6月10日(土)より、「美術新人賞デビュー2023」「第7回星乃珈琲店絵画コンテスト(2022年)」でともにグランプリを獲得するなど、注目を集めつつある画家・福濱美志保による個展「Something in the Wind」を開催いたします。本展は、福濱にとってコマーシャル ギャラリーにおける初めての個展となります。「何かが起こりそうな情景」をキーワードに、約10点の新作を発表します。
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本展のタイトルは、福濱が「風」にまつわる英語の慣用句を辞書で調べる中で “There’s something in the wind”=「何かが密かに進行している」という表現をたまたま知ったことが端緒となっている。2021年春から2年以上にわたって東北地方の日本海沿岸を拠点に生活と制作を続ける中で、強烈な海風とともに生きている感覚が日常のものとなり、今回の個展のキーワードに「風」を据えることを思いついたと福濱は語る。そこから偶発的に導かれたタイトルはしかし、彼女の現在の絵画表現に起こりつつある変化をごく自然に反映している。
昨年から今年にかけての2つのコンテストにおける福濱のグランプリ受賞作には、人型・炎・植物など、これまでの彼女の作品には見られなかったモチーフが現れていた。絵の中に漂う静謐な気配や入念な筆触といった基本的な要素は従来と変わらないが、そこには水面下に蠢く何らかの動的な緊張感、もっといえばある種の不穏さや、それに立ち向かう意志のようなものも顔を覗かせ始めている。植物や炎といったモチーフもまた、ここ数年の生活環境の変化に伴って福濱の中で関心が高まった対象だというが、それらは彼女の日常的な視野や実感のみならず、現在の社会の流動的な状況を少なからず映し出しているように思えてならない。「何かが起こりそうな情景」とは、眼前に在る外界の環境と、人々の内面で起こる眼に見えない変化の両方を示しうる言葉だろう。
多くの場合において静的な形態をとる絵画というメディアは、静的であるがゆえに、風のように目まぐるしく動き続ける世界の一部を簡潔かつ複雑に切り取ってみせる。Windが世界だとすれば、Somethingは絵画そのものである。という解釈も悪くないのではないか。
[Text:田中耕太郎(インディペンデント・キュレーター / 土門拳記念館 学芸員)]
【開催概要】
福濱美志保 個展 Something in the Wind
会期:2023年6月10日(土) − 6月25日(日)
時間:11:00 – 19:00
休廊:月曜日・火曜日
KATSUYA SUSUKI GALLERY
〒152-0022 東京都目黒区柿の木坂1-32-17
Tel:03-5726-9985
Mail:info@katsuya-susuki-gallery.com
Web:https//katsuya-susuki-gallery.com
福濱美志保 / Mishiho FUKUHAMA
1992
東京都出身
2017
武蔵野美術大学 造形学部油絵学科 卒業
[主な展覧会]
2023
「MITSUKOSHI Art Weeks」日本橋三越本店、東京(同:2021)
月刊美術主催「美術新人賞デビュー2023 入選作品展」泰明画廊、東京
2022
「Ballet meets Art」KATSUYA SUSUKI GALLERY、東京
2021
「FACE展選抜作家小品展2021」REIJINSHA GALLERY、東京
「木曽ペインティングス vol.5」 / 木曽、長野(同:2018 Vol.2)
「Nightfall」2 号室、山形
「Kinder Wonder Garden 若林菜穂 & 福濱美志保」 KATSUYA SUSUKI GALLERY、東京
個展「Whistling on the Iceberg」 / cafe*lamp、東京
2018
個展「瞬きのすき間」 / cafe*lamp、東京
2017
「エクササイズ&Grandscape 石原康佑・福濱美志保」 / LOKO GALLERY、東京
[主な受賞歴]
2023
月刊美術主催 美術新人賞デビュー2023 グランプリ
2022
第7回星乃珈琲店絵画コンテスト グランプリ (同:2021 第6回 優秀賞 福田美蘭推薦 / 2020 第5回 優秀賞)
2021
FACE2021 入選
2019
三菱商事アート・ゲート・プログラム 第43回チャリティー・オークション 入選
[パブリックコレクション]
日本レストランシステム株式会社